けいあんの御触書

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「手のひらの露」を読み終えたので振り返る

「手のひらの露」が完結した(全3巻)ので読み終えての感想を。

優吾くん約4年間の大学生活での成長物語でもあるし、手代木さんの長いスパンをかけた仕返しの物語でもありました。
3巻の構成は序破急って感じを受けたかな。1巻は各登場人物の紹介に加え各所にばら撒かれていた情報が1つにまとまっていく、これ1冊で作品の持ち味を伝える物語。2巻ではそれまで出てきたキャラの掘り下げが行われつつ、人間関係にも少しずつ変化が起こっていきながらも、兄弟2人に大きな転機が訪れる物語。そして3巻は、これまでに巻いてきた種を刈り取りつつ、兄弟2人の回りにいた人が少しずつ力を合わせてそれぞれが目標を達成していく、地味ながらもカタルシスを得られる展開になっていました。

物語が最後までまっすぐ貫くように進んでいくのは、shachiさんがプログラマだからかな。無駄がなさすぎるぐらいどの登場人物にも役割が振られていたのが不自然に感じる人がいるかもしれないけど、現実でも意外と知らない繋がりがいきなり表出するものなのですし(昨日の会食でまざまざと思い知った)、こいつがこの場面で役立つとかという意外性が面白かったです。


3巻の表紙が優吾くんだけだったのも発売前は「んっ?」って思ったのですが、読み終えてみると手代木さんからの独立を示唆している感じがして、物語に合ったものになっていて良かったですね。また一人にされた手代木さんがちゃんと食事出来ているかが心配ですが……そう登場人物の「これから」がきになる物語なんですよね。押しの強そうな女性陣に兄弟2人がどう対応しているのかとか、主人公の周りに気になるキャラが多かったのも物語としては良かったなぁ。


あと食べ物な!シフォンケーキ食べたいぞ……各章のタイトルの所に簡易レシピっぽい模式図が有るのですが、実際に作っている場面が出てくるとその部分の想像を超えるような美味しそうな香りがしてくるんです。隠れた魅力となる部分……ってかこれが書きたかったんじゃねえのか、とも思ってしまうぐらい力が入っていました。


すんなり読める物語で、全3巻という短い時間ながらも深く楽しめました。また何かしらの物語を紡ぎだしていただきたいなと。