けいあんの御触書

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Super Bowl LI(特にあの3rd & 1)について考えてみる

Super Bowl LI、凄かったですね……正直第3Q終わる頃には「1ポゼ(8点)差ぐらいまで追い上げれば良いんじゃない」というレベルの敗戦ムードだったわけですが、まさかの展開でした。そこではしゃぎすぎたせいか、翌日から体調を崩し、ようやく今日になって仕事に戻れた感じで今週はボロボロだったのですが ><

NEファンにとっては夢のような大逆転劇だった、ATLファンにとっては悪夢のような展開だったSuper Bowl LIの第4Q。特に言われているのがこのプレイのようです。

3-1-ATL 36 (8:31) (Shotgun) M.Ryan sacked at ATL 25 for -11 yards (D.Hightower). FUMBLES (D.Hightower) [D.Hightower], RECOVERED by NEA.Branch

「なんでランをしなかったんだ?」と言っている人が思いのほか多くてびっくりしているのです、自分は。という事で、自分が覚えなかった違和感、つまりこの流れに至った状況について解説してみようかな、というのがこのエントリになります。

まずGame Statsなど様々な情報が詰まったpdfへのリンクを張っておきます。
http://www.nfl.com/liveupdate/gamecenter/57167/ATL_Gamebook.pdf
これを見て振り返ってみましょう。

3ページ目に最終スタッツがあり、そして7ページ目に前半のスタッツがあります。これを見比べてみましょう。必要な部分を画像にしてみました(加工あり)

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前半のATLは理想的な試合運びでした。ランが1回平均10yds近いですから、ランユニットの良さが際立っています。このランの良さがパスにも好影響を与えました。
対するNEはランがほとんど出せずパス頼みの展開。しかしそのパスも成功率は60%を僅かに超えた程度。落球も多かったですが、積極的なATLディフェンスにパスを投げ急がされたり、キャッチを防がれたりと、ランが出ない為にパス守備に力を注がれてやられる悪循環に陥っていました。

しかしながらハーフタイムで調整してくるのがNEの強さ。上下の画像でスタッツの差分を取ってみましょう。後半、ATLのラン攻撃は9回 18ydsと平均2ydsでした。対するNEはラン攻撃が11回 69ydsと、前半とは対象的なスタッツとなりました。
ハーフタイムショーもあり、少しだけ長く時間が取れたのもNEに追い風となったのでしょう。NEのランが出やすくなったのは、点差が離れてNEオフェンスがパスを多用せねばならない状況になり、ラン攻撃への意識が削がれたのが一因ではあります。しかしATLのランが出なくなった事に対しては「明確に」修正が施されたと見ても間違いないのは、1プレイごとの獲得ydsを見ても一目瞭然でしょう。

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リアルタイムで感じていた感覚的なものが、データとしてまとめた事で確信したのがこの表でした。
後半のATLは反則で取り消しになったプレイ(行6 右のカッコ内)も含め、4回も後退したランプレイがありました。そして特に気になったのがショートシチュエーションでのランの出なさだったのです。

【第3Q】
2-1-NE 6 (9:28) D.Freeman up the middle to NE 9 for -3 yards (E.Rowe; R.Ninkovich).

2-1-NE 32 (1:30) T.Coleman left tackle to NE 33 for -1 yards (T.Flowers).PENALTY on ATL-J.Matthews, Offensive Holding, 10 yards, enforced at NE 32 - No Play.

【第4Q】
2-2-ATL 35 (9:00) T.Coleman up the middle to ATL 36 for 1 yard (T.Flowers; L.Ryan). ATL-T.Coleman was injured during the play


1st down更新まで2yds以下の2nd downでのランプレイがこんな感じですから、3rd downも再びランで……というのはちょっと気が引けますよ、これ。実際この3プレイの次は全てパスになりました(2つ目は反則での罰退で2nd downやり直しではあるのですが)

先程のpdfから別の部分を抜き出してみました。

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書式は異なりますが、ランでの1st down更新回数を見てみると、ATLは後半ランでの1st down更新が1回もありません。さらに言うと3rd downでの1st down更新は後半0%です(0/5)。後半の1st down更新はパスですら7回しかありませんが、前半あれだけ好調に見えたランが大きく落ち込んでいるのがよく分かるスタッツだと思います。

後半のNEディフェンスは「ランは止められているので後はパスだけ」、これはHOOTERSで観戦していた時の感覚もそうでした。点差が離されているだけに「時間を使われるわけにはいかない」という意識もあったからでしょう。ランへの人数の割き方を見ても明らかなように、ハーフタイムでの調整はラン対策に比重をおいたように感じられました。それが奏功したのが上の2nd downでの3プレイだったと思います。このように1st downまでの短い距離をランで取らせないという守備を続けた事で相手オフェンスの攻め手を削り、ビッグプレイに繋がったと言っても過言ではないでしょう。
ATLにとってさらに不運だったのは、ファンブルロスト直前のプレイでRBコールマンが傷んだ事。もう1人のRBフリーマンに密集に突っ込ませるようなプレイをさせて怪我でもしたら、さらにランの攻撃力は落ちますからそれは避けたいでしょうしね。

上のプレイとは別にATLにとって不運なめぐり合わせだと感じたのが、WRフリオ・ジョーンズの好キャッチ(下の引用一番上のプレイ)が出た後の展開。1st downのランでロスタックルを食らうと、パスを選択した2nd downではQBライアンが投げ捨てる間も与えられず12yds後退。このプレイもパスの選択自体は悪くなかったものの、割って侵入を許した場所とQBライアンが逃げた方向が見事に噛み合わなかった不運なプレイでした。ここでランをしていれば……とは言いますが、第3Qで相手のKゴストウスキーがPATを外していますし、プレッシャーが掛かる場面で少しでも楽に蹴らせたいという気持ちもわかりますしね。結果的にあのPAT失敗も、この場面でNEの追い風になってしまったのかもしれません。

2-8-NE 49 (4:47) (Shotgun) M.Ryan pass deep right to J.Jones to NE 22 for 27 yards. P16
1-10-NE 22 (4:40) D.Freeman left end to NE 23 for -1 yards (D.McCourty).
2-11-NE 23 (3:56) (Shotgun) M.Ryan sacked at NE 35 for -12 yards (T.Flowers).
Timeout #1 by NE at 03:50.
3-23-NE 35 (3:50) (Shotgun) M.Ryan pass short left to M.Sanu pushed ob at NE 26 for 9 yards (L.Ryan).
PENALTY on ATL-J.Matthews, Offensive Holding, 10 yards, enforced at NE 35 - No Play.
3-33-NE 45 (3:44) (Shotgun) M.Ryan pass incomplete short left to T.Gabriel.

 

WRエデルマンのスーパーキャッチ(下にリンクあり)や、QBブレイディ・RBホワイトの活躍ばかりが取り沙汰されている感じですが、実はハーフタイムで調整したNEディフェンスの要所での踏ん張りが大きかったのですよ、と自分は声を大にして言いたいです。あと単にミスに見えたPAT失敗が、終盤のATLにプレッシャーを与えた要因になったのではと考えると、何がどう繋がるかわからないと感じるのと同時に、大舞台の怖さをまざまざと感じる試合だったと思いますね。