けいあんの御触書

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映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット

 去年の5月に公開された作品を見直していたら、当時書きかけだったものを完成させねばという思いが高ぶった末のエントリです。

 原作(漫画・小説 等)が完結していない作品で劇場版を作る際には、オリジナルの物語を投入してくる場合がよくあります。例を挙げようとしたら枚挙に暇がないでしょう。そんなオリジナルを挿入された際に問題になるのが「強さ」です。
 時間軸にもよりますが、劇場版を盛り上げるべく強敵を用意すると、原作の展開でのキャラクターの強さとの齟齬が発生してしまう事が良くあります。スポーツものでは合間のエピソードを作るのは難しいのであまり見ないですが、バトルものだとよくあるパターンですね。

 ここで本題の「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」についてです。この作品の題材はギャンブルですが、スポーツやバトルのように戦って白黒をつける……だけじゃないのですよね、ギャンブルは。自分が勝つだけでなく、相手を勝負から降ろさせるのも勝つ方法の1つです。麻雀経験者ならわかるでしょうが、ベタ降りをさせれば相手の勝機は0になります。これを上手く使った作品だったので、自分は唸らされた訳です。

 例えばポーカーではBet・Callの仕方などで、自分の手が強いように見せかけて相手を下ろす戦略(ブラフ)があります。そしてリアルな戦いであれば、プレイヤー達は賭け金の多寡に加え、ライバルの一挙手一投足を観察してそれを見破ろうとします。
 では今作中での敵役である視鬼神真玄が何をしたのか。視鬼神真玄のキャッチコピーとして「最凶最悪の刺客」が使われていますが、やった事は至極簡単、一言で言えば盤外戦。ある時は預金残高を人質代わりに、ある時は自分の仲間を高所から突き落とそうとして、相手が勝負から降りることを共用します。強い敵を期待して見た人には拍子抜けだったかも知れませんが、これにより主要キャラが強くなった描写をしなくても済み、原作への影響を抑える事が出来ました。また「死も厭わなずギャンブルをする『賭ケグルイ』」な「蛇喰夢子」「桃喰綺羅莉」2人の性質を使って最後にやり返すという綺麗な物語が紡がれていたのです。結構ネタバレ感はありますが、決着については是非作品を見ていただきたいのです。

 自分は使いたくないのですが、虚構作品に対して「インフレ」という言葉がよく使われがちです。わかりやすい例だとドラゴンボールヤムチャでしょうか、序盤ではライバルであり仲間にもなっていた彼は、終盤ではほとんど機能しなくなっていました。敵と戦う作品は相手の強敵化は止められないものです。しかしギャンブルでは「上回る」ではなく「降ろす」勝ち方があり、それが見事にハマったのが「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」だったと思います。

 劇場版 第3弾、作ってくれないかなぁー